相続財産は、預貯金や株式といったプラスの財産と負債のようなマイナスの財産に分類されます。
相続財産の受け取り方としては、プラスの財産もマイナスの財産もすべて受け取るという「単純承認」が一般的です。しかし、相続の場面によっては、「受け取る資産よりも支払う負債の方が多く、相続するのが不安」「被相続人とは関係が悪く、被相続人の財産を相続したくない」といったニーズが存在します。
こちらでは、このようなニーズに応える受け取り方として、「相続放棄」をご説明します。
相続放棄
相続放棄とは、被相続人の財産について、プラスの財産もマイナスの財産も関係なく、全てを受け取る権利を放棄する方法をいいます。プラスの財産を受け取ることはできなくなってしまいますが、被相続人に代わって相続人が借金を返済する義務も免除されます。
相続放棄の申述手続き
相続放棄を行うためには、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行う必要があります。
静岡市内で申述される相続放棄の全てを管轄する静岡家庭裁判所(静岡市葵区)では、年に7,000件ほど相続放棄の申述が受理されており(令和3年度)、全国平均と比べても、静岡県内での相続放棄の件数は多いようです。
「事実上の相続放棄」に注意
相続放棄をする場合には、上述のように、家庭裁判所に申述するのが通常です。
一方で、「相続放棄をした」とおっしゃる方のなかには、「遺産分割協議において全財産の相続を放棄した」ことをもって、「相続放棄」をしたと思われている方もいます。「全財産の相続を放棄する」ことについて、その他の相続人全員が同意し、その同意に基づいて遺産分割協議書が作成されているのであれば、自己相続分をゼロにする「事実上の相続放棄」がなされたことになります。
しかしながら、この「事実上の相続放棄」は、家庭裁判所への申述によってなされる「法律上の相続放棄」とは異なりますので、被相続人の債権者に対しては主張できません。
「事実上の相続放棄」だけでは、プラスの財産は相続していないのに、負債だけ背負ってしまったということにもなりかねません。相続放棄を検討する場合には、「事実上の相続放棄」だけではなく、家庭裁判所への相続放棄の申述も必ず行うようにしましょう。
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